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更新履歴】  
                2007/09/25 「映画批評〜「誰も知らない」を観る〜」
                2007/05/24 「映画・感想コラム」
                2007/05/07 「アニメ・漫画批評」
                2006/10/07 「お勧めアニメ」

 

「映画批評〜「誰も知らない」を観る〜」

 数年前、某有名レンタルビデオ屋で『誰も知らない』という映画を借りたことがある。  この映画は、1988年に起きた「巣鴨子供置き去り事件」をモチーフにした作品であり、 主人公を演じた柳楽優弥が、カンヌ国際映画祭で史上最年少である14歳で主演男優賞に輝いた。

アパートに引っ越してきたけい子と息子・明、大家には「夫が長期出張中の母子ふたり」と偽っているが、実はけい子には明の他にも娘が二人・息子が一人いた(それぞれ父親が違う)。小さい弟・妹はスーツケースに押し込まれ、小学六年くらいの妹は単独で家にたどり着く、出生届を出していない子供の存在が知れれば、アパートを追い出されると考えてのことだった…。

新しい家で生活を始めた一家だったが、母親が『好きな人が出来た』と言い失踪する。わずかに残された現金で生活する明達だったが、現金も底をつき…。

(ネタばれ注意!!)

見終わった後、虚脱感と言い知れない後味の悪さを覚えたことが浮かびます。序盤、スーツケースに次男と次女を押し込む、小学校高学年くらいの長女は人目をはばかり家にたどり着く等、引越しからして異常であり、不気味なものさえ感じました。

しかし、母親であるけい子は子供に暴力を振るう・男を家に連れ込む訳でもなく、夜には食事をしながら一家団欒をし、中学生くらいである明に勉強を教える(…と言っても、長男・明は九九も言えません)など、見ようによっては普通の母親に見えます。

ですが、『学校に行きたい』という明・長女の要望を聞き入れなかったり、好きな男性が出来ると現金を置いて失踪する等、異常な一面を見せています。

 この映画を観て私がゾクっとさせられたのが、『学校に行けない』・『周囲に存在を認知されない』という状況を明達は『当たり前のこと』と受け止め、受け流しているあたりでした。母親の存在、会えば口々に『俺の子じゃない』と責任逃れをする父親達といった残酷・無責任な大人達に育てられた彼らにとって、そういった境遇は普通となっています。無論、母親が失踪した後、期限切れの弁当をくれるコンビ二店員や、児童相談所に行くことを進める女性など、明たちを手助けしてくれる人間は存在します。 しかし、それ以上に介入する訳でもなく、良心が痛まない程度に援助して革新的な援助をしないところ等、結局は他人事と考えたいという本音が見えています(汗)。

その後、明たちの他に度を越したいじめに遭う少女も加わるのだが、このいじめにしても、『中野富士見中学の自殺事件』を髣髴とさせる陰湿なものです。心に闇を抱える少女と共に、所持金を底をつき家と共に朽ち果ててゆき終盤で起きた悲劇を機に、彼らは破滅の道へと突き進んでいくなかで物語は終了します。

 日本邦画は淡々とした日常の後に、哀愁と切なさを併せ持った結末が主流です。しかし、明たちの向かおうとしている先は破滅しかない訳で、逆にゾっとさせられました。近年、児童虐待・育児放棄(ネグレクト)などの問題がとり立たされていますが、今回の『誰も知らない』は大人のあり方・子供の社会的な弱さを思い知らされる一本でした。

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「映画・感想コラム」

『シンドラーのリスト』

 正義漢でもヒーローでもない、人間くさい事業家の英雄伝アカデミー賞(作品・監督・脚色・撮影・編集・美術・作曲賞)で7部門を総なめした。

モノクロの無機質な映像(92年の作品ですが、監督のスティーブン・スピルバーグの意向で、当時のホロコーストのリアル感を出す為に、あえてモノクロになった)と、ホロコーストの残虐性と狂気、財産をかなぐり捨てて、ユダヤ人1100人以上を救い出したシンドラーの生き様を描いた戦争映画の金字塔。

(感想)ネタばれ注意!!

 最大の魅力を言うならば、主人公でありビザを発給し6000人のユダヤ人を救った 外交官・杉原千畝と同じく『諸国民の中の正義の人』に認定されたオスカー・シンドラーの人間臭さにあります。無一文でドイツに赴いたシンドラーは、倒産寸前の工場を買い取り『ドイツほうろう容器工場(D.E.,F)』として軍隊を相手に商売をしようと、ほぼ無償で働かせられるユダヤ人を雇うことしか考えていなかった。更に、親衛隊の虐待から逃れ、工場で働いていた片腕の老人の感謝の言葉にしても、シンドラーは『商売がしたいだけ』と右腕だった計理役・イツァーク・シュルテン(ユダヤ人)に愚痴るぐらいだった。

 しかし、シンドラーが1100人以上のユダヤ人を救い出せた要因として、親衛隊に従順であるフリをして(表向きでは話を合わせ、親衛隊とにこやかに会話していた)、ユダヤ人を賄賂で工場へと招きいれた、シンドラーの世渡りの上手さと話を合わせる才能にある。更に、シンドラーは極めて現代的な主観と倫理観をもっており、その為か、親衛隊の異常性と社会の不条理性を見極めることができたと考えられる。

 シンドラーの心を動かしたのは、モノクロ映像である本編において唯一彩色されている赤い服を着た3〜4歳児(本編中、彼女の赤い服だけがカラーで写る)がむなしく逃げ惑う様だった。両親を殺され(もしくは捕獲)、誰にもすがることさえ出来ずに走り回るその姿は、大人のエゴで振り回され、それでも大人が作った社会でしか生きられない子供の悲劇性を暗示している。

 全編において、とにかく親衛隊(SS)が狂っているとしか思えない。収容所の所長アーモン・ゲート大尉においては、自宅のベランダからライフルで囚人を狩猟感覚で射殺、見目麗しいユダヤ人女性を、無理やりメイドとして雇って虐待するなど、その辺の猟奇殺人犯よりタチが悪い。個人的に怖かったのは、工場に向かう女性達が手違いでアウシュビッツ強制収容所へと連行。消毒の為、全裸にされシャワー室に入れられ、『ガス室』の噂を聞いていた女性達が狂ったように泣き叫ぶ場面。彼女達の極限状態の恐怖と、『ガス室』のシーンを見せられるのではという私自身の恐怖で、全編中で一番冷やりとさせられ、ビデオの停止スイッチを押したい衝動に駆られた唯一の場面でした。

 欠点に、前半がダラダラしていてスピード感が無く、観ているうちに疲れてしまう点がありますが(苦笑)、物語性・忠実に再現された町並みと収容所といった面で、エンターテイメント映画としては満点あげちゃう(笑)。

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 「アニメ・漫画批評」

『瀬戸の花嫁』

 ガンガンウィングに連載中の人気漫画のアニメ化。

主人公・満潮永澄(みちしおながすみ)は夏休みに父親の実家に帰郷中、海で溺れた際に人魚・瀬戸燦(せとさん)に救助される。しかし、掟で人魚は人間に正体を知られるとどちらかが死ぬ、もしくは人魚の身内になる(間接的に結婚)の二つの選択肢を迫られてしまう。結果、結婚の道を選んだ燦と永澄だったが、人魚でおまけに任侠の一人娘である燦との恋愛は平坦なものである筈もなく…。

(批評)

『任侠』というエッセンスを取り入れたのは斬新。しかし、登場人物の殆どが過剰なまでに『任侠』という言葉に拘り、そのあからさまな任侠精神が鼻につくことも…。特にヒロイン・燦の毎回の決め台詞はややマンネリ化しており、あまりの過剰さとくどさに聞き飽きてしまい、そろそろ別な名言を聞きたくなってくる。 主人公・永澄もまっすぐないい奴で、燦の可愛らしさと個性的なキャラクターが魅力だが、台詞や演出のマンネリ化さえなくせばもっと飛躍するのではと思うのは私だけ?(汗)。

『地獄少女二籠』

 以前とりあげた『地獄少女』の第二期シリーズであり、シリーズ完結編にもあたる。

(批評)

ネタばれの為、本編の詳しい内容は割愛する。前作では展開がマンネリだったが、今回はどんでん返しとひねりに満ちた物語で、地獄に流される相手が終盤になるまで分らなかったりと、物語がバリエーション豊かになっている。主人公・閻魔あいは、前シリーズで過去の因縁に区切りをつけた為か、ひたすら寡黙だったのが、ややお茶目で表情豊かになっており物語に華を添えている。

お勧めする物語は、『偽地獄通信』・『曽根アンナの濡れた休日』・『憧憬』〜『あいぞめ(最終話)』。

特に最終話までの続き物となっている『憧憬』〜『あいぞめ』は、前作で語られたあいの過去とリンクし、物語の本質とあいの地獄流しの答えが語られる為、絶対に観ることをお勧めしたい。更に、前作では謎のままだった三藁(骨女・輪入道・一目連)の過去にも触れられており、完結編に相応しい多彩な演出と、問題提起にとんだ物語で引き込まれることは間違いないだろう。

『失踪日記』

 『ふたりと5人』、『不条理日記』、でブームを引き起こした漫画家・吾妻ひでおが、 90年代に二度の失踪をし、その過酷なホームレス生活やアル中病棟時代を描いたエッセイ漫画。

(批評)

『失踪』・『アル中病棟』・『ホームレス』と凄惨な単語が目に付くが、ギャグ漫画家で知られる吾妻ひでおはそういった生活をすべてコメディ調に描き、笑い飛ばすことを本作で狙っている。アルコール依存症の幻覚症状、ホームレス生活で凍死寸前まで追い込まれるなど、悲惨きわまりない内容にも関わらず、全く悲壮感を感じさせないのが本作の最大の恐怖である。ギャグ漫画家としての手腕とセンス、天性の才能があっての技だが当の作者は『ギャグ漫画家引退宣言』をしており、こういった傑作が出てこないと思うと残念である。

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「お勧めアニメ」

◆『ライフ』・・・いじめっ子・愛海の暴走と化けモノ化はどこまで続くんだ?

 ドラマ『R17』の原作本ともなった『ももち麗子問題提起集』等と数えられる リアル少女漫画の傑作。少女漫画にありがちな恋愛要素は一切なく、 『いじめ』という現実的なテーマを中心において物語を展開し、クラスメイト達に いじめの標的とされる主人公・歩が唯一の味方である羽鳥と共に真正面から 立ち向かう!下手な少年漫画よりも迫力のある画風と、いじめっ子の筆頭である安西愛海 ( あんざいまなみ)の強烈なキャラと、レイプ(未遂)・権力者の父親を使っての強迫など、あの手この手でいびりまくる展開は目が離せない。最も熱い少女漫画なのだが、つい最近は愛海が神出鬼没で化けモノ化している 節もありますが…(汗)

 

◆『地獄少女』・・・ 主人公・閻魔あい役の声優・能登麻美子さんの演技が光る作品です。

 人気若手声優の一人である能登麻美子の出世作であり、いまどき珍しいアニメプロオリジナルアニメ。深夜粋の放送にも関わらず、そのリアルで現実的な問題提起と展開、更には程よく絡めた 和 風ティストで、多くのマルチなファンを持つ秀作であり、つい最近ではアニメ第二期シリーズ・実写ドラマが始動した。午前0時(きっかり)にだけアクセスできるサイト『地獄通信』に、憎い相手、 恨みをはらしたい相手の名前を書くと『地獄少女』が現れて藁人形を手渡してくるが、彼女と正式に契約するには藁人形の首に巻かれている赤い糸を解かなければいけない。『相手を地獄に落とせば、依頼者も死後に地獄に落ちる』という設定がキーワードで、依頼者やターゲットの事情も様々でどうしようもない社会悪がターゲットだったり、善人であったりと  設定が深い。特に地獄少女・閻魔あい役の能登麻美子さんの演技が素晴らしく、 私が能登さんのおっかけをする きっかけとなった。

 

 ◆『こちら葛飾区亀有公園前派出所』・・・ 両さんのハチャメチャさと人情味は、 案外理想の男性像かも!?

  『お下劣』・『ワンパターン』と敬遠されやすいこの漫画なのですが、20年以上の連載と150巻を 越える単行本の歴史を紐解くと、昔懐かしいバーコードバトラーやポケベルといった当時 の流 行 を垣間見られ、プチ『まんが日本の歴史』状態になっている上、当時の世相を垣間見るセリフがあるのも興味深い。 自分勝手で守銭奴だが、正義感が強く人情家である主人公・両津勘吉(両さん)の憎めないキャラは『男はつらいよ』の寅さんを彷彿とさせるが、私的には遠くから 眺めていたい『いい男』である。 案外、両さんみたいな破天荒でも世話好きで憎めない人が旦那や父親だったら、面白いかもね(笑)。

 

◆『クレヨンしんちゃん〜嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』 ・・・お尻のキレイな おバカ幼稚園児・しんのすけは将来、いい男になるかも!?     
 

 そのクオリティの高さと、マニアックな設定から傑作と呼ばれている『クレしん』映画で 最も評価の高い作品。監督の原恵一さんいわく『ターゲットを子供から、劇場に子供の付き添い と してくる大人にする』との意気込みから、物語の舞台を、昭和の懐かしい遊びや流行をアトラクションとした『20世紀博』として、『クレしん』の悪役にしては異色である哀愁をもっている 『ケンチャン・チャコチャン』が問題提起として、『モノや醜い現実が渦まく21世紀に見切りをつけて、楽しかった20世紀に閉じこもってしまえばいい』と考えるのに対し、家族を愛するしんのすけやかすかべ防衛隊が 『大切な家族との時間を守るため、未来に進まなければいけない』と奮闘する姿は前向きでまっすぐな子供の姿であり、純粋でひたむきなしんちゃんはカッコイイと感じます。

 

◆『名探偵コナン〜ベイカー街の亡霊〜』・・・故野沢尚や製作時にこだわった追い詰められるコナンの人間臭さが見れる映画。

 ドラマの脚本家で知られる故野沢尚が脚本を担当し、コナン映画でも上位の人気を誇る作品。体感シュミレーションマシーン『コクーン』に閉じ込められたコナン達は、シャーロック・ホームズの世界を再現した仮装現実世界で19世紀のロンドンに実在した凶悪犯『切り裂きジャック』を捕まえる為に奮闘する映画。

注目すべきは、ここでのコナンは自身の推理や行動を計画を頭で計画を立てて遂行しており、予想外のアクシデントに見舞われると身動きが取れなくなってしまうというマニュアル的な一面があり、これは恐らく全編のコナンに言える事だと思うが、 完璧超人のイメージのある彼の人間臭さが伺える。

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